映画「誰よりも狙われた男」
アントン・コルベイン監督により2014年に公開された映画です。
ジョン・ル・カレのスパイサスペンス小説を原作とし、2014年にアカデミー主演男優賞などを受賞した事のある、フィリップ・シーモア・ホフマンが主演した最後の作品です。
舞台はドイツのハンブルグで、対テロ諜報チームを率いる男バッハマンは、密入国してきた青年イッサをマークします。
イッサはロシア軍の父、レイプされイッサを生み15才という若さで亡くなった母を持っていました。
ロシアとチェチェンという二つの引き裂かれたルーツを持ち、イスラム過激派として傾倒していった青年でした。イスラム過激派として国際指名手配されているイッサですが、人権団体の女性弁護士を通して、銀行家だったブルーと接触します。
ブルーの銀行にはテロ組織の資金源である秘密口座の存在が疑われており、イッサの目的はその秘密口座にあることを突き止めたドイツのスパイはCIAの介入を得る事に成功しイッサ逮捕に向けて動き出します。
バッハマンはイッサを泳がせて資金源となっている大物の正体を追いかけますが、そこで思いがけない事態に次々と巻き込まれていってしまうのです。
イッサを巡るアメリカとヨーロッパというバッハマンとドイツ諜報組織との対立構図、スパイ同士が繰り広げるスパイ戦の中で徐々にイッサの出自が露呈していくのです。
双方のスパイがお互いの腹の探りあいをする中それぞれの思惑が交錯するのですが・・・重厚にありながら暴力が描かれる事なく、冷酷なまでに静かな心理戦が描かれています。
見どころは最後のクライマックスにありますので、最後の10分をお見逃しのないように見て欲しい映画です。